SPI非言語は、SPIの能力検査のうち、計算と論理的な思考力を測る分野です。推論、損益算、速さ、確率、割合と比、集合、表の読み取りなどが出題され、中学・高校で学ぶ数学が中心です。ただしテストセンターでは電卓が使えず、1問ごとに制限時間があるため、解法の型を覚えて速く解く ことが得点の鍵になります。このページでは、分野ごとにオリジナルの練習問題と解法を示し、覚えておきたい公式と勉強の進め方をまとめます。
概要
- 位置づけ
- SPI3の能力検査のうち非言語分野(もう一方は言語)
- 主な分野
- 推論、順列・組み合わせ、確率、割合と比、損益算、速さ、集合、表の読み取り
- 時間
- テストセンター・WEBテスティングは言語と合わせ約35分;ペーパー約40分・30問
- 電卓
- テストセンターは使用不可;WEBテスティングは使用可
- 解答形式
- 選択式が中心
- ほかのテスト
- 玉手箱は四則逆算・図表の読み取り・表の空欄推測;CABは四則逆算・法則性
SPI非言語の分野と覚えておきたい公式
まずは分野ごとの公式を一覧で確認しましょう。問題を解く前にここを見直すだけで、解き始めが速くなります。
| 分野 | 公式・考え方 |
|---|---|
| 損益算 | 利益 = 売価 − 原価/定価 = 原価 ×(1 + 利益率)/売価 = 定価 ×(1 − 割引率) |
| 速さ | 距離 = 速さ × 時間/出会うまでの時間 = 距離 ÷(速さの和)/追いつくまでの時間 = 距離 ÷(速さの差) |
| 確率 | 確率 = 当てはまる場合の数 ÷ 全体の場合の数/「少なくとも1つ」は 1 −(1つもない確率) |
| 順列・組み合わせ | 並べる:ₙPᵣ = n ×(n−1)× …(r個)/選ぶだけ:ₙCᵣ = ₙPᵣ ÷ r! |
| 割合と比 | 比べる量 = もとにする量 × 割合/「AはBの何倍か」= A ÷ B |
| 集合 | A または B = A + B − A かつ B |
| 仕事算 | 全体の仕事を1とし、1日にできる量(1/日数)を足す |
| 濃度 | 濃度(%)= 食塩 ÷ 食塩水 × 100 |
| 平均 | 合計 = 平均 × 個数 |
推論
推論は、与えられた条件から確実に言えることを判断する問題です。非言語の中でも出題が多いと紹介されることが多く、順序、位置関係、内訳、正誤などの形式があります。詳しい解き方と例題は推論・判断推理の対策ページにまとめたので、ここでは数量の推論を1問だけ扱います。
例題1:数量の推論
3つの整数の平均は18で、最も大きい数は27です。残りの2つの数の差は5です。最も小さい数はいくつですか。
A 9 B 10 C 11 D 12 E 13
解答:C
解法: 1. 合計 = 18 × 3 = 54 2. 残り2つの合計 = 54 − 27 = 27 3. 和が27、差が5の2数 → 大きい方 =(27 + 5)÷ 2 = 16、小さい方 = 27 − 16 = 11 4. 確認:16 は 27 より小さいので条件に合います。
和差算(大 =(和+差)÷2、小 =(和−差)÷2)は、推論でもよく使います。
損益算
原価・定価・売価・利益の関係を問う問題です。何を「1」とするかを最初に決めるのがコツです。
例題2
原価1,200円の商品に、原価の25%の利益を見込んで定価をつけました。しかし売れなかったため、定価の1割引で売りました。利益は何円ですか。
A 100円 B 120円 C 150円 D 180円 E 300円
解答:C
解法: 1. 定価 = 1,200 × 1.25 = 1,500円 2. 売価 = 1,500 × 0.9 = 1,350円 3. 利益 = 1,350 − 1,200 = 150円
E「300円」は定価の利益(1,500 − 1,200)で、割引を忘れたときの誤答です。
例題3
ある商品を定価の2割引で売ると、原価の8%の利益が出ます。定価は原価の何倍ですか。
A 1.25倍 B 1.30倍 C 1.35倍 D 1.40倍 E 1.45倍
解答:C
解法:原価を1、定価をxとします。売価は 0.8x、これが原価の1.08倍なので 0.8x = 1.08 → x = 1.08 ÷ 0.8 = 1.35。電卓が使えないときは、1.08 ÷ 0.8 = 10.8 ÷ 8 = 1.35 のように小数点を動かしてから割ると速く計算できます。
料金割引
条件によって料金が変わる問題です。どこから割引が始まるかを正確に読み取ります。
例題4
ある施設の入場料は1人800円で、団体の場合、10人を超えた分の人数は1人あたり2割引になります。15人の団体の入場料の合計は何円ですか。
A 9,600円 B 10,400円 C 11,200円 D 12,000円 E 12,800円
解答:C
解法:最初の10人は 800 × 10 = 8,000円。残り5人は 800 × 0.8 = 640円ずつで 640 × 5 = 3,200円。合計 = 11,200円。A「9,600円」は15人全員を2割引にしたときの誤答です。「〜を超えた分」「〜人以上」の違いに注意します。
速さ
距離・速さ・時間の関係を問う問題です。単位をそろえる(分速と時速、mとkm)ことを最初に確認します。
例題5
家から駅まで、分速80mで歩くと、分速200mの自転車で行くより15分多くかかります。家から駅までの距離は何kmですか。
A 1.6km B 1.8km C 2.0km D 2.4km E 3.0km
解答:C
解法:距離をdmとすると、d/80 − d/200 = 15。通分すると 5d/400 − 2d/400 = 3d/400 = 15 → d = 2,000m = 2.0km。確認:歩くと25分、自転車で10分、差は15分です。
例題6(旅人算)
1周1.2kmの池の周りを、AとBが同じ地点から同時に出発します。Aは分速70m、Bは分速50mです。
(1)反対方向に進むと、2人が初めて出会うのは何分後ですか。 (2)同じ方向に進むと、AがBに初めて追いつくのは何分後ですか。
解答:(1)10分後 (2)60分後
解法: - (1)反対方向なら、2人の距離は1分に 70 + 50 = 120m ずつ縮まります。1,200 ÷ 120 = 10分。 - (2)同じ方向なら、差は1分に 70 − 50 = 20m ずつ開きます。1周(1,200m)差がついたときに追いつくので 1,200 ÷ 20 = 60分。
確率
場合の数を数えて割る問題です。「少なくとも」が出てきたら、反対の場合(余事象) から考えます。
例題7
赤玉3個と白玉2個が入った袋から、同時に2個を取り出します。少なくとも1個が白玉である確率はいくらですか。
A 3/10 B 2/5 C 1/2 D 3/5 E 7/10
解答:E
解法: 1. 全体:5個から2個を選ぶ ₅C₂ = 10通り 2. 白玉が1個もない(2個とも赤):₃C₂ = 3通り → 確率 3/10 3. 少なくとも1個が白:1 − 3/10 = 7/10
A「3/10」は余事象の確率をそのまま選んだときの誤答です。
例題8
サイコロを2回投げて、出た目の和が5になる確率はいくらですか。
A 1/12 B 1/9 C 1/6 D 5/36 E 1/4
解答:B
解法:全体は 6 × 6 = 36通り。和が5になるのは(1,4)(2,3)(3,2)(4,1)の4通りなので、4/36 = 1/9。(1,4)と(4,1)を別々に数えるのがポイントです。
順列・組み合わせ
並べる(順番がある) のか、選ぶだけ(順番がない) のかを最初に判断します。
例題9
5人の中から委員長と副委員長を1人ずつ選ぶ方法は何通りですか。また、5人の中から代表を2人選ぶ方法は何通りですか。
解答:委員長と副委員長は20通り、代表2人は10通り
解法:委員長と副委員長は役割が違うので順番があり、₅P₂ = 5 × 4 = 20通り。代表2人は役割が同じなので順番がなく、₅C₂ = 20 ÷ 2 = 10通り です。
例題10
男子3人、女子2人の中から3人を選ぶとき、女子が少なくとも1人含まれる選び方は何通りですか。
A 6通り B 7通り C 8通り D 9通り E 10通り
解答:D
解法:全体は ₅C₃ = 10通り。女子が1人もいない(男子3人だけ)のは ₃C₃ = 1通り。10 − 1 = 9通り です。確率と同じく「少なくとも」は余事象で考えます。
割合と比
「何を基準にした割合か」を取り違えないことが最大のポイントです。
例題11
XはYの1.2倍、ZはYの0.75倍です。XはZの何倍ですか。
A 0.9倍 B 1.25倍 C 1.45倍 D 1.6倍 E 1.8倍
解答:D
解法:Yを1とすると X = 1.2、Z = 0.75。X ÷ Z = 1.2 ÷ 0.75 = 120 ÷ 75 = 1.6倍。基準になる量(Y)を1と置くと、比べやすくなります。
例題12
ある商品の価格を20%値上げした後、新しい価格から20%値下げしました。最初の価格と比べてどうなりましたか。
A 変わらない B 2%下がった C 4%下がった D 4%上がった E 2%上がった
解答:C
解法:最初を1とすると 1 × 1.2 × 0.8 = 0.96。最初より 4%下がっています。値上げと値下げでは基準になる価格が違うため、「+20%と−20%で元に戻る」とはなりません。
集合
複数の条件に当てはまる人数を数える問題です。ベン図 か 表 を書いて整理します。
例題13
120人にアンケートをしたところ、犬を飼っている人が45人、猫を飼っている人が38人、どちらも飼っていない人が52人でした。犬と猫の両方を飼っている人は何人ですか。
A 11人 B 13人 C 15人 D 17人 E 19人
解答:C
解法: 1. 犬か猫の少なくとも一方を飼っている人 = 120 − 52 = 68人 2. 両方 = 45 + 38 − 68 = 15人
条件が3つ以上ある問題や「Aだが、Bではない」のような条件は、2×2の表に人数を書き込むと整理しやすくなります。
仕事算
全体の仕事量を1として、1日(1時間)あたりの仕事量で考えます。
例題14
ある仕事を、Aは1人で12日、Bは1人で18日で終えます。2人で同時に始めると、仕事は何日目に終わりますか。
A 6日目 B 7日目 C 8日目 D 9日目 E 10日目
解答:C
解法:1日の仕事量はAが1/12、Bが1/18。2人で 1/12 + 1/18 = 3/36 + 2/36 = 5/36。全体を終えるには 1 ÷ 5/36 = 36/5 = 7.2日かかります。7日では終わらず、8日目 に終わります。「何日かかるか」と「何日目に終わるか」の聞き方の違いに注意してください。
表の読み取り
表やグラフの数値から計算する問題です。どの数値が基準か を確認してから計算します。
例題15・16:資料
ある会社の3店舗の売上をまとめた表です。
| 店舗 | 2025年の売上(万円) | 前年比 |
|---|---|---|
| P店 | 4,800 | +20% |
| Q店 | 3,780 | −10% |
| R店 | 2,400 | +50% |
例題15:2024年の売上が最も大きかった店舗はどれですか。
A P店 B Q店 C R店 D P店とQ店が同じ E 判断できない
解答:B
解法:2024年の売上 = 2025年の売上 ÷(1 + 前年比)で求めます。 - P店:4,800 ÷ 1.2 = 4,000万円 - Q店:3,780 ÷ 0.9 = 4,200万円 - R店:2,400 ÷ 1.5 = 1,600万円
2025年はP店が最大ですが、2024年は Q店 が最大です。表に書かれた年と、聞かれている年が違う点が引っかけです。
例題16:3店舗の売上の合計は、2024年から2025年にかけて約何%増えましたか。
A 約8% B 約10% C 約12% D 約14% E 約20%
解答:C
解法:2024年の合計 = 4,000 + 4,200 + 1,600 = 9,800万円。2025年の合計 = 4,800 + 3,780 + 2,400 = 10,980万円。10,980 ÷ 9,800 ≒ 1.12 なので、約12% の増加です。E「約20%」は3つの前年比をそのまま平均した((20 − 10 + 50)÷ 3)ときの誤答で、売上の規模の違いが反映されていません。
電卓なしで速く解くコツ
テストセンターでは電卓が使えないため、計算の工夫がそのまま時間の節約になります。
- 分数のまま計算する:0.75 は 3/4、0.125 は 1/8、0.6 は 3/5 のように、よく出る小数を分数で覚えておきます。
- 小数点を動かしてから割る:1.08 ÷ 0.8 は 10.8 ÷ 8 と同じです。
- 選択肢から逆算する:選択肢の数値が離れている場合は、概算で絞れます。
- 単位を先にそろえる:時速と分速、kmとmを混ぜたまま計算しないようにします。
- 条件は最初に表にする:同じ条件で複数の設問が続く場合、整理した表をそのまま使えます。
WEBテスティングなど電卓が使える方式では、逆に電卓の操作に慣れておくと時間を短縮できます。受ける方式に合わせて練習しましょう。
SPI非言語が「難しすぎ」と感じるときは
「SPI非言語が難しすぎる」と感じる原因の多くは、問題の難しさではなく 解法を知らないこと と 時間の短さ です。
- 分野ごとの正答率を出す:苦手な分野が2〜3個に絞れることがほとんどです。
- 解法を一つに決める:同じ分野で毎回違う解き方をすると、本番で迷います。問題集の解法を一つ選び、それを繰り返します。
- 基本問題を速く解けるようにする:難問を解けるようにするより、基本問題を確実に速く解くほうが得点は上がります。
- 捨てる判断を練習する:制限時間を超えそうな問題は、選んで次へ進む練習もしておきます。
SPI非言語の勉強法
3週間のプラン
| 期間 | やること |
|---|---|
| 1週目 | 公式の表を確認し、全分野の基本問題を一通り解く。分野ごとの正答率を記録する |
| 2週目 | 正答率の低い分野(推論・確率・損益算などが多い)を集中して解く。同じ問題を解法が自然に出るまで繰り返す |
| 3週目 | 時間を計って模擬テスト。間違えた問題は「公式を知らなかった」「計算ミス」「読み違い」に分けて記録する |
言語と非言語の配分
言語は語彙の積み重ねが必要で、非言語は解法を覚えると得点が伸びやすい分野です。時間が限られているなら、非言語に多めに時間を使い、言語は毎日少しずつ語彙を確認する配分がおすすめです。言語の対策はSPI言語の対策と例題をご覧ください。
出典
- SPI3公式「テストセンターに関するよくある質問」(電卓は使用不可)
- ONE CAREER「SPIテストセンター」(言語・非言語で35分、非言語の出題分野)
- ONE CAREER「SPI」(非言語の出題分野、WEBテスティングの電卓、ペーパーの電卓不可)
- CREX就活「SPIの試験時間」(方式別の時間、問題数は正答状況で変わる。ペーパーの非言語を40問とし、他の記事と食い違い)
- 就活の教科書「SPIペーパーテストとは」(ペーパーの非言語30問/40分)
- LEC「SPI(公務員試験)」(ペーパーの非言語30問/40分)
- 日本エス・エイチ・エル「玉手箱Ⅲ」(計数理解テスト・四則逆算)
- 日本エス・エイチ・エル「CAB」(四則逆算・法則性・命令表・暗号)
- 就活の教科書「玉手箱」(計数の四則逆算・図表の読み取り・表の空欄推測)

心理学修士、7年の受験歴。
最終更新:Oct 1, 2026