SPIの推論は、いくつかの条件から「必ず正しいといえること」や「考えられる組み合わせ」を導く問題で、非言語分野の中心的な出題です。順序、位置関係、内訳、対戦、正誤などの形式があり、計算よりも 条件を素早く整理する力 が問われます。公務員試験では同じタイプの問題が「判断推理」と呼ばれます。図形を使った推論は、SPIよりもCABの法則性・暗号やTG-WEBの従来型で多く出ます。このページでは、それぞれの形式をオリジナル例題で解きながら、速く正確に解くコツを解説します。
概要
- SPIの推論
- 非言語分野の一部;順序、位置関係、内訳、対戦、正誤、整数など
- 判断推理
- 公務員試験での呼び方;順序・位置・対応・うそつき問題など
- CABの図形系
- 法則性、暗号、命令表
- CAB法則性の時間
- Web-CAB 約12分、30問とも40問とも;紙は約15分・40問
- TG-WEBの図形系
- 従来型の計数で展開図・一筆書き・サイコロ・軌跡
- 玉手箱
- 玉手箱Ⅲの製品説明に図形の科目はない
SPI推論の解き方の基本
どの形式でも、手順はほぼ同じです。
- 条件を記号にする:「PはQより高い」は「P>Q」、「AはBの隣」は「AB または BA」と短く書きます。
- 確定する条件から使う:「Aは3号室」のように一つに決まる条件を先に置き、ほかの条件をそこにつなげます。
- 場合分けを書き出す:一つに決まらないときは、考えられる並びをすべて書きます。多くの場合、2〜3通りに収まります。
- 選択肢を全パターンに当てる:「必ず正しい」は全パターンで成り立つもの、「正しい可能性がある」は少なくとも1パターンで成り立つものです。
SPIの推論では、「必ず正しい」「誤り」「どちらともいえない」の区別が問われます。ある並びで成り立つだけでは「必ず正しい」とはいえない という点を常に意識してください。
順序(順位)の推論
例題1
P、Q、R、S、Tの5人がテストを受けました。同点の人はいません。次のことがわかっています。
- PはQより点数が高い。
- RはSより点数が低い。
- TはPより点数が高いが、Sより点数が低い。
このとき、次の推論ア・イの正誤を考えてください。
ア Sが1位である。 イ Qが最下位である。
A アもイも正しい B アは正しいが、イはどちらともいえない C アは正しいが、イは誤り D アはどちらともいえないが、イは正しい E アもイもどちらともいえない F アは誤りだが、イは正しい
解答:B
解説:条件をつなげると S > T > P > Q の順が確定します。Rは「Sより低い」ことしかわかっていないため、Sの下のどこにでも入れます。
- ア:S はT・P・Q より高く、R も S より低いので、Sは必ず1位 です。→ 正しい
- イ:R が Q より下に入れば Q は4位になるので、最下位とは限りません。かといって誤りとも言い切れません。→ どちらともいえない
コツ:不等号を一本の列にまとめ、位置が決まらない人を「浮いている人」として横に書いておくと、判断が速くなります。
位置関係の推論
例題2
横一列に並んだ1号室から5号室に、A、B、C、D、Eの5人が1人ずつ住んでいます。次のことがわかっています。
- Aは端の部屋に住んでいる。
- Eは3号室に住んでいる。
- DはAの隣の部屋に住んでいる。
- BとCは隣り合う部屋に住んでいる。
このとき、必ず正しいといえるものをア〜ウからすべて選んでください。
ア DはEの隣の部屋に住んでいる。 イ Bは端の部屋に住んでいる。 ウ CはAの隣の部屋に住んでいない。
A アだけ B イだけ C ウだけ D アとイ E アとウ F イとウ
解答:E
解説:Aは1号室か5号室です。
| 場合 | 1号室 | 2号室 | 3号室 | 4号室 | 5号室 |
|---|---|---|---|---|---|
| Aが1号室 | A | D | E | B・C | B・C |
| Aが5号室 | B・C | B・C | E | D | A |
- ア:Dは2号室か4号室で、どちらも3号室(E)の隣です。→ 必ず正しい
- イ:Bは4号室・5号室・1号室・2号室のどれにもなり得ます。端とは限りません。→ 必ず正しいとはいえない
- ウ:Aの隣は必ずDなので、CがAの隣になることはありません。→ 必ず正しい
コツ:「端」のように候補が少ない条件から場合分けすると、表が小さくて済みます。
内訳の推論
例題3
赤・青・黄の3色の玉が合わせて10個あります。赤は青より多く、青は黄より多く、黄は2個以上あります。青は何個ですか。
A 2個 B 3個 C 4個 D 5個 E 決まらない
解答:B
解説:赤 > 青 > 黄 ≧ 2 で、合計は10個です。 - 黄が2個のとき:青は3個以上、赤は青より多い。青3個なら赤5個(5+3+2=10)で条件を満たします。青4個なら赤は4個となり、「赤は青より多い」に反します。 - 黄が3個のとき:青は4個以上、赤は5個以上で、合計が12個以上になり10個を超えます。
したがって組み合わせは赤5個・青3個・黄2個の1通りだけで、青は3個 です。
コツ:最も小さい数(ここでは黄)を最小値から順に試すと、早く候補が尽きます。
対戦(勝敗)の推論
例題4
A、B、C、Dの4チームが総当たりで1試合ずつ対戦しました。引き分けはありません。次のことがわかっています。
- Aは3勝0敗だった。
- Dは1勝だけした。
- BはCに勝った。
このとき、Cの勝ち数として考えられるものを選んでください。
A 0勝だけ B 1勝だけ C 0勝か1勝 D 1勝か2勝 E 2勝だけ
解答:C
解説:4チームの総当たりは全部で6試合なので、勝ち数の合計は6です。A(3勝)とD(1勝)を除くと、BとCの勝ち数の合計は2です。BはCに勝っているので、Bは1勝以上です。
| 場合 | A | B | C | D |
|---|---|---|---|---|
| BがDに勝った | 3勝 | 2勝(C・D) | 0勝 | 1勝(Cに勝つ) |
| DがBに勝った | 3勝 | 1勝(C) | 1勝(Dに勝つ) | 1勝(Bに勝つ) |
どちらの場合も条件を満たすので、Cは 0勝か1勝 です。
コツ:総当たりの試合数は「チーム数 ×(チーム数 − 1)÷ 2」で、引き分けがなければ勝ち数の合計と同じです。これを最初に書くと、残りの勝ち数がすぐにわかります。
判断推理:うそつき問題
公務員試験の判断推理やTG-WEBの従来型で紹介されることが多い形式です。SPIの正誤問題の練習にもなります。
例題5
A、B、Cの3人のうち、1人だけがケーキを食べました。3人は次のように話していますが、本当のことを言っているのは1人だけです。
- A「私は食べていない。」
- B「Aが食べた。」
- C「私は食べていない。」
ケーキを食べたのは誰ですか。
A Aさん B Bさん C Cさん D 決まらない
解答:C
解説:食べた人を1人ずつ仮定し、本当のことを言っている人数を数えます。
| 仮定 | Aの発言 | Bの発言 | Cの発言 | 本当の人数 |
|---|---|---|---|---|
| Aが食べた | うそ | 本当 | 本当 | 2人 |
| Bが食べた | 本当 | うそ | 本当 | 2人 |
| Cが食べた | 本当 | うそ | うそ | 1人 |
「本当は1人だけ」という条件を満たすのは、Cが食べた 場合だけです。
コツ:うそつき問題は、一人ずつ仮定して表にする のが最も確実です。頭の中だけで考えると、途中で条件を見落としやすくなります。
図形の法則性(CAB法則性)
CABの法則性は、図形が並んだ列の中に1つ空欄があり、図形の変化の規則を見つけて空欄に入る図形を選ぶ問題です。日本SHLはこの科目を、図形の並びの規則性を見つける力を通してプログラマーへの適性を測るものと説明しています。Web-CABでは約12分で、問題数は30問とする情報と40問とする情報があります。どちらにしても1問あたり20〜25秒程度しかありません。
以下は、実際の図形を文字で表したオリジナル問題です。
例題6:位置が動く規則
図1〜図5は、ある規則に従って並んでいます。図4に入るものを選んでください。
図1 図2 図3 図4 図5 ■□□ □■□ □□■ ? □□□ □□□ □□□ □□□ □□□ □□□ □□□ □□□ □□■
A B C D E □□□ □□□ □□■ □□□ □□□ □□■ □■□ □□□ ■□□ □□□ □□□ □□□ □□□ □□□ □■□
解答:A
解説:黒いマスは、外周を 時計回りに1マスずつ 進んでいます(左上 → 上中央 → 右上 → 右中央 → 右下)。図4は右中央なので A です。図5(右下)とつながることも確認できます。
例題7:2つの規則が同時に変わる
図形が次のように並んでいます。図4に入るものを選んでください。
図1 図2 図3 図4 図5 ▶ ▽ ◀ ? ▶
A ▲ B △ C ▷ D ▼ E ◁
解答:B
解説:規則は2つあります。 1. 向き:右 → 下 → 左 → ? → 右 と、時計回りに90度ずつ回っています。図4は上向きです。 2. 色:黒 → 白 → 黒 → ? → 黒 と、黒と白が交互に変わっています。図4は白です。
上向きで白い △ が答えです。A(▲)は向きだけ合っていて色が違う、典型的な引っかけの選択肢です。
例題8:数と別の要素の組み合わせ
図形が次のように並んでいます。図4に入るものを選んでください。
- 図1:三角形(中に点あり)
- 図2:四角形(中に点なし)
- 図3:五角形(中に点あり)
- 図4:?
- 図5:七角形(中に点あり)
A 六角形(中に点あり) B 六角形(中に点なし) C 五角形(中に点なし) D 七角形(中に点なし) E 八角形(中に点あり)
解答:B
解説:角の数は3 → 4 → 5 → ? → 7と1つずつ増えるので、図4は六角形です。中の点は「あり → なし → あり → ? → あり」と交互なので、図4は「なし」です。
法則性を速く解くコツ
- 要素を分けて見る:位置、向き、色、数、大きさなど、変化している要素を1つずつ確認します。
- 図1→図2の変化を仮説にする:その仮説が図2→図3でも成り立つかを確かめ、成り立てば空欄に当てはめます。
- 空欄の後ろの図も使う:例題6・7のように、空欄の後の図形が答えの確認になります。
- 選択肢で絞る:1つの規則で選択肢を半分に減らしてから、2つ目の規則で決めます。
図形の暗号(CAB暗号)
CABの暗号は、図形がある記号を通ると変化する様子から、それぞれの記号の働きを推理する問題です。日本SHLは、隠れた構造を推理する力として、システム設計への適性やデバッグ能力に関わると説明しています。
例題9
矢印の図形が記号α・βを通ると、次のように変化しました。
- ↑ に α を通すと ↓ になる。
- ← に α を通すと → になる。
- → に β を通すと ↓ になる。
- ↑ に β を通すと → になる。
← に α、β の順で通すと、どの図形になりますか。
A ↑ B → C ↓ D ←
解答:C
解説: - αの働き:↑が↓、←が→になるので「180度回転」です。(上下反転だと←は←のまま、左右反転だと↑は↑のままなので、どちらも条件に合いません。) - βの働き:→が↓、↑が→になるので「時計回りに90度回転」です。 - ← に α を通すと →、それに β を通すと ↓ です。
コツ:1つの例だけで働きを決めず、2つ以上の例で確認 してから使います。反転と回転は1つの例だけでは区別できないことがあります。
TG-WEB従来型の図形問題
TG-WEBの従来型の計数では、展開図、折り紙、軌跡、一筆書き、サイコロなどの図形問題が出ると就活メディアは紹介しています。形式に慣れていないと手が止まりやすいため、代表的な考え方を知っておくと有利です。詳しくはTG-WEBの対策ページをご覧ください。
例題10:一筆書き
次のうち、一筆書き(同じ線を二度なぞらず、ペンを紙から離さずに描くこと)ができる図形はどれですか。
ア 正方形に対角線を1本引いた図形 イ 正方形に対角線を2本引いた図形
A アだけ B イだけ C アとイ D どちらもできない
解答:A
解説:一筆書きができるのは、奇数本の線が集まる点が0個か2個 の図形です。 - ア:対角線の両端の2つの角には3本、残りの2つの角には2本の線が集まります。奇数の点は2個なので できます(奇数の点の一方から描き始め、もう一方で終わります)。 - イ:4つの角すべてに3本の線が集まり、奇数の点が4個になるので できません(対角線の交点は4本で偶数です)。
玉手箱に図形問題は出る?
「玉手箱 図形」という検索は多いものの、日本SHLの玉手箱Ⅲの製品ページで紹介されている科目は、計数(四則逆算)、言語(大意把握)、英語、パーソナリティで、図形の科目は含まれていません。就活メディアの多くも、玉手箱の計数は四則逆算・図表の読み取り・表の空欄推測と紹介しています。
一方で、同じ日本SHLのCABには法則性や暗号という図形の科目があり、TG-WEBの従来型にも図形問題があります。「玉手箱 図形」で探している問題は、実際にはCABやTG-WEBの形式であることが多いと考えられます。受検案内やログイン画面に表示されるテスト名を確認し、そのテストの形式で練習してください。玉手箱そのものの対策は玉手箱の対策ページ、CABはGAB・CABの対策ページにあります。
推論問題でよくあるミス
- 「可能性がある」を「必ず正しい」と判断する:1つの並びで成り立っても、ほかの並びで成り立たなければ「必ず正しい」とはいえません。
- 場合分けの漏れ:「AはBの隣」を「AB」だけで考え、「BA」を忘れるミスが多いです。
- 条件の読み落とし:「同点はいない」「引き分けはない」のような前提が、場合分けを減らす鍵になります。
- 図形で1つの要素だけを見る:向きが合っていても色が違う、のような選択肢に注意します。
推論・図形の練習方法
| 期間 | やること |
|---|---|
| 1〜3日目 | 順序・位置関係・内訳の基本問題を、条件を記号や表に書く練習とともに解く |
| 4〜6日目 | 対戦・正誤・うそつき問題を解く。全パターンを書き出す習慣をつける |
| 7〜9日目 | CABやTG-WEBを受ける可能性があれば、法則性・暗号・一筆書き・展開図の基本パターンを確認する |
| 10日目以降 | 時間を計って解く。1問ごとに「条件整理にかかった時間」を意識する |
出典
- SPI対策 非言語(App Store、推論の収録分野:平均・順序・正誤・濃度・密度・位置関係・対戦・整数・内訳)
- ONE CAREER「SPIテストセンター」(非言語の出題分野に推論)
- 日本エス・エイチ・エル「CAB」(法則性・暗号・命令表の説明)
- 日本エス・エイチ・エル「玉手箱Ⅲ」(科目の構成)
- paiza「Web-CABの特徴」(法則性 30問・12分)
- ONE CAREER「CABの対策」(Web-CABの法則性 30問・12分、紙 40問・15分)
- 就活の教科書「CABの命令表」(紙のCABとWeb-CABの問題数・時間の比較。法則性はWeb-CAB 40問・12分、紙 40問・15分)
- 就活の教科書「TG-WEB」(従来型の図形問題)
- 就活の教科書「玉手箱」(計数の形式)

心理学修士、7年の受験歴。
最終更新:Oct 1, 2026